あの『夢から醒めた夢』が再び生まれ変わった。
30年前の1987年にニッセイ名作劇場のファミリーミュージカルとして生まれた『夢から醒めた夢』は、その後劇団四季のオリジナルミュージカルの代表作としてこれまで上演されて来た。
2000年には演出、衣裳や振付などが大胆に変更され、1700回を超える上演を重ねてきた日本オリジナルのミュージカルとしては異例の人気を持つ作品だ。
僕自身も子供の頃に観劇し、その後在団中には上演に携わり、大切な作品として胸に刻まれている。
そんな『夢から醒めた夢』が2013年の公演を最後に上演されずにいた。
浅利慶太氏が劇団四季を去り、もう上演はされないのか・・・と残念に思っていたところに、4年ぶりの上演が浅利演出事務所から発表されたので上演を楽しみにしていたのだが、
仕事の都合上チケットをぎりぎりまで取らずにいたところ、なんと初日を前にして全日程完売になってしまった。
劇団四季外での上演にも関わらず、ここまでチケットを売り上げるというのは、やはりこの作品の持つ魅力が大きい証拠であろう。
そんな状況の中、僕の行ける日程がたったの1日しかないことが判明し前日に滑り込みで”おけぴ”にてチケット譲渡を見つけ、無事観に行くことが出来た。
夢の配達人に導かれ、不思議なことが大好きな少女ピコは、交通事故で死んでしまった少女マコと一日だけ入れ替わる。
死んだ者が向かう”光の国”へ向かう前に立ち寄る霊界空港で起こったある騒動やマコとお母さんの関係を通し、ピコはやさしさ、命の大切さを知っていく・・・
今回の上演から演出が自由劇場仕様に変更となった。
また、衣裳やカラオケは旧演出のものになったりとこれまでの公演を踏まえた現時点までの総括版とも言える演出だ。
直近の上演まで行われていた、開演前のロビーパフォーマンスや遊園地のシーンやカーテンコールでのショー的要素をすべて無くし、劇団四季の加藤敬二色を排除した模様。
その代わりに芝居に重きを置いたシンプルな舞台装置や照明になっており、再び作品と勝負した浅利慶太の本気が垣間見えた。
舞台上に出ている初めて出演する若手俳優も、これまでも作品に出演してきた年老いてしまったベテラン俳優たちもみんな完璧ではなく、今回の上演に向けて作品と対峙し”新しく創り上げた”という印象。
浅利先生が「今やりたいこと」はこんな風に作品を創っていくことなのだろうなと思った。
ピコの夢の中で出会う”友情”や”愛”、”命”は現実のものではないけれども、作品に出逢った人々の心の中にホンモノの感動として残る。その儚さがまさに”演劇”である。
『夢から醒めた夢』の中でも昔から変わらないシーンがある。
空の舞台に役者がひとり
この作品はそんな情景で始まり、そして終わる。
まさに”芝居という名の夢”を観させてくれる名作なのだ。
東京 浜松町・自由劇場にて2017年6月22日まで
スタッフ
作 = 赤川次郎 (『夢から醒めた夢』角川文庫)
演出 = 浅利慶太
台本 = 浅利慶太・奈良和江
作曲 = 三木たかし・宮川彬良
作詞 = 奈良和江・浅利慶太
振付 = 謝珠栄
美術 = 土屋茂昭
照明 = 吉井澄雄
作 = 赤川次郎 (『夢から醒めた夢』角川文庫)
演出 = 浅利慶太
台本 = 浅利慶太・奈良和江
作曲 = 三木たかし・宮川彬良
作詞 = 奈良和江・浅利慶太
振付 = 謝珠栄
美術 = 土屋茂昭
照明 = 吉井澄雄
キャスト
四宮なぎさ
堤 梨菜
野村玲子
松本悠作
下村 青
桑島ダンテ
和田一詩
野島直人
宮川智之
山口嘉三
斉藤昭子
近藤真行
和田一詩
野島直人
宮川智之
山口嘉三
斉藤昭子
近藤真行
鈴木凌平
関 廣貴
高木裕和
田極 翼
棚橋麗音
星 潤
川畑幸香
熊田愛里
権守美加子
豊永晴加
水野瑞葵
吉田 藍
公演日程
2017年6月9日開幕~22日千穐楽(全15回公演)・6/9金13:30
・6/10土13:00
・6/10土17:30
・6/11日13:00
・6/13火19:00
・6/14水13:30
・6/15木19:00
・6/16金13:30
・6/17土13:00
・6/17土17:30
・6/18日13:00
・6/20火13:30
・6/21水13:30
・6/21水19:00
・6/22木13:30
チケット料金
全席指定:8,500円(税込み)
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