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ミュージカル『マリオネット』


2009年に初演されたミュージカル座のオリジナルミュージカル『マリオネット』。
何度かの再演を経て、今回は主役のピエールを劇団四季の同期である斎藤准一郎くんが演じるとのことで、応援も兼ねて観劇してきました。
チラシのビジュアルやあらすじを読んだ印象から、ファミリーミュージカルなのだろうと思い込んで観に行ったのですが・・・
フランス・パリの下町でマリオネット職人として暮らしているピエールは自信をなくしていた。
商売がうまくいかずに時計台前に出しているお店をたたもうとしていたある日、
突然目の前に現れキスをしてきた不思議な女の子・ソフィに出会う。
その女の子はピエールのおじいさんが作った時計台の鐘つき人形だったのだ。
ソフィに導かれて今まで自分の作ってきたマリオネットたちが住む”おとぎの国”を訪れ、ピエールは本当の自分を取り戻していく。
あらすじだけを書くとほんわかファミリーミュージカルなのですが、ピエールの悩み苦しむ姿などは現実を生きる僕らが、仕事などの壁にぶち当たる姿そのもの!
闇病みなピエールが、”おとぎの国”として描かれる精神世界に入り込み、「自分とは何者なのか?」を追い求め、”本当の自分”を取り戻していくさまは
”うつ”から抜け出そうともがき苦しむ多くの現代人の姿と重なるのではないでしょうか?
なんとも言えない欝々しい描写により、子ども向けを超えた大人と子どもが一緒に観るべく、まさに"ファミリーミュージカル"作品に仕上がっていたと思います。
ミュージカル座は『ひめゆり』しか観たことがなかったのですが、正直あまり良いイメージを持っていませんでした。
しかし、この『マリオネット』の音楽はとてもおしゃれにパリを表現していて、カラオケも安っぽくなく
装置や照明もメルヘンと鬱々しさを絶妙に混在させた効果的な演出が施されており、心に来るものがありました。
作曲家の木村直樹氏は惜しくも46歳の若さでお亡くなりになっているらしく、とても残念。
これからも再演を重ねるであろうこのミュージカル座の『マリオネット』。
生きることにちょこっと疲れてしまっている大人たちの目に少しでも多く触れる機会が増えたらいいなと思いました。
公演期間:2017/5/24~28
劇場:六行会ホール
脚本・演出:竹本敏彰
作曲・編曲:木村直樹
演出:中本吉成
振付:高橋 咲
出演:夏目卓実 / 齋藤准一郎 / かとう唯 / 礒部花凜 / たむらもとこ / 佐久間雄生 / 柏木佑太 / 山中美奈 / 蒔田優香 / 浅地直樹 / 鈴木富士子 / 平川はる香 / 恩田和典 / 森西建次 / 港幸樹 / 五大輝一 / 他
美術:松野 潤
衣裳:五大輝一
照明:小川 修(ルポ)
音響:中村恵美子
映像:JUNGO(MaiNote inc.)
舞台監督:田中 聡(a58b)
歌唱指導:西 利里子
プロデューサー:竹本敏彰 ハマナカトオル
企画・製作・主催:ミュージカル座

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