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5月, 2017の投稿を表示しています

唐組第59回公演 『ビンローの封印』

唐十郎先生の言葉は僕にとってビンロウのようなものである。 年に2度のお楽しみ、春の唐組公演に足を運んだ。 欠かさず春と秋の公演に通うようになってからかれこれ10年近く経つものの、 唐組の役者たちから吐き出される唐さんが紡ぐ言葉をいっこうに理解出来る気配がない僕です。 だけれども、お尻の痛みに耐え続ける二時間を求め 一切眠気に襲われることもないのは何故なのだろう? 唐さんの難解な言葉を頭に流し込むと、 普段頭のなかを渦巻いているどうでもいい事柄が綺麗に流されてしまう。 理解は出来なくとも、唐さんの言葉に反応する脳を持っていて良かった。 そんな気持ちにさせられた。 尖閣諸島周辺で起こった海賊事件を軸に、唐十郎ならではの少年冒険活劇が描かれる。 福本は初舞台から素晴らしい役者だが、それから数年経った今もフレッシュで素敵な役者のままだ。 すっかり若返った唐組だが、彼がいる間は安泰だろう。 また、新規ファンも取り込める美少年ぷり。 彼の今後を皆さんお見逃しなく。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 唐組第59回公演 『ビンローの封印』 作=唐十郎 演出=久保井研+唐十郎 [役者陣] 久保井研/辻孝彦/藤井由紀/赤松由美/岡田悟一/南智章/清水航平/福本雄樹/河井裕一朗/福原由加里 他     ★全原徳和/大嶋丈仁/重村大介(唐ゼミ ☆ )/熊野晋也(唐ゼミ ☆ )  [スタッフ]  原画=KUMA・篠原勝之 宣伝美術=間村俊一 データ作成=海野温子 作曲=安保由夫 [開演時間] 毎夕7時(6時30分開場) [入場料] 前売券3,500円  当日券3,600円       学生券3,000円 [公演場所・公演日程] 大阪=南天満公園 4月28日(金)29日(土)30日(日) 東京=新宿・花園神社 5月6日(土)7日(日)/12日(金)13日(土)14日(日) 6月3日(土)4日(日)/9日(金)10日(土)11日(日) 東京=雑司ヶ谷・鬼子母神      5月20日(土)21日(日)/26日(金)27日(土)28日(日) 長野=長野市城山公園・ふれあい広場       6月17日(土)18日(日) 

ミュージカル『マリオネット』

2009年に初演されたミュージカル座のオリジナルミュージカル『マリオネット』。 何度かの再演を経て、今回は主役のピエールを劇団四季の同期である斎藤准一郎くんが演じるとのことで、応援も兼ねて観劇してきました。 チラシのビジュアルやあらすじを読んだ印象から、ファミリーミュージカルなのだろうと思い込んで観に行ったのですが・・・ フランス・パリの下町でマリオネット職人として暮らしているピエールは自信をなくしていた。 商売がうまくいかずに時計台前に出しているお店をたたもうとしていたある日、 突然目の前に現れキスをしてきた不思議な女の子・ソフィに出会う。 その女の子はピエールのおじいさんが作った時計台の鐘つき人形だったのだ。 ソフィに導かれて今まで自分の作ってきたマリオネットたちが住む”おとぎの国”を訪れ、ピエールは本当の自分を取り戻していく。 あらすじだけを書くとほんわかファミリーミュージカルなのですが、ピエールの悩み苦しむ姿などは現実を生きる僕らが、仕事などの壁にぶち当たる姿そのもの! 闇病みなピエールが、”おとぎの国”として描かれる精神世界に入り込み、「自分とは何者なのか?」を追い求め、”本当の自分”を取り戻していくさまは ”うつ”から抜け出そうともがき苦しむ多くの現代人の姿と重なるのではないでしょうか? なんとも言えない欝々しい描写により、子ども向けを超えた大人と子どもが一緒に観るべく、まさに"ファミリーミュージカル"作品に仕上がっていたと思います。 ミュージカル座は『ひめゆり』しか観たことがなかったのですが、正直あまり良いイメージを持っていませんでした。 しかし、この『マリオネット』の音楽はとてもおしゃれにパリを表現していて、カラオケも安っぽくなく 装置や照明もメルヘンと鬱々しさを絶妙に混在させた効果的な演出が施されており、心に来るものがありました。 作曲家の木村直樹氏は惜しくも46歳の若さでお亡くなりになっているらしく、とても残念。 これからも再演を重ねるであろうこのミュージカル座の『マリオネット』。 生きることにちょこっと疲れてしまっている大人たちの目に少しでも多く触れる機会が増えたらいいなと思いました。 公演期間:2017/5/24~28 劇場:六行会ホール 脚本・演出:竹本

ミュージカル『グレート・ギャツビー』

10代か20代の頃に小説も読み、映画も観たがイマイチ嵌れなかった『ギャツビー』。 ミュージカルならもしかしたら・・・とわずかな希望を胸にチケットを取ったのだが 開幕直後から、周囲の観劇仲間の辛辣なコメントが僕のもとに数多く届いた(笑) 世紀の駄作 金返せ! 芳雄が気持ち悪い! etcetc・・・ しかし、僕には自信がありました。 世紀の駄作や金返せ案件はもう既に発生しているので(〇家の紋章) それを超える駄作など存在しないと。 一人の女性をイノセントに愛し続け、 一縷の希望に賭け、人生の全てをささげた男の物語。 ストーリーや楽曲うんぬんではなく、そのギャツビーのような愛し方を理解出来るか出来ないか? それが評価へ直接繋がる作品なのだと思う。 そう、これは僕の大好物である"ヤンデレミュージカル"そのものでした。 きらびやかで豪華なギャツビーの人生の中にある哀しさ、何かが物足りない切なさ。 小池演出の腕が光り、さらに日生劇場という空間もまさにマッチしているように感じた。 日生劇場は隣の東京宝塚劇場や帝国劇場とは違い 豪華な出で立ちの中に何か哀愁を感じるのは僕だけ? 小池演出の確立した世界観とB'wayの新星リチャード・オベラッカーが生み出したミュージカルの王道をいく安定したミュージカルナンバーにより、日本オリジナルの新作ミュージカルとは思えないほど落ち着いて観る事が出来る作品でした。 ハイライト・ライヴ録音CDも2017年11月に発売されるようです。 お持ち帰りソングは1曲もなかったけど、もう一度あの世界感に浸りたい気もするのでちょっと欲しいなぁ~ ミュージカル「グレート・ギャツビー」 【原作】F・スコット・フィッツジェラルド 【音楽】リチャード・オベラッカー 【脚本・演出】小池修一郎 【出演】井上芳雄 夢咲ねね 広瀬友祐 畠中洋 蒼乃夕妃 AKANE LIV 田代万里生 ほか 2017年5月8日(月) ~5月29日(月)/東京・日生劇場 2017年6月3日(土)~6月15日(火)/名古屋・中日劇場 2017年7月4日(火) ~7月16日(日)/大阪・梅田芸術劇場メインホール 2017年7月20日(火)~7月25日(火)/福岡・博多座

『氷艶 hyoen2017 ―破沙羅(ばさら)―』

アイスショー×歌舞伎の世界初のショーだそうだ。 歌舞伎役者が卓越したパフォーマーであることはもう分かりきっていたけれども、 スケーターたちもそれに匹敵する"表現者"なのだということをまざまざと見せつけられた公演でした。 アイスショーというと、どうしてもチープな演出で見所は有名選手の演技のみというものが多いイメージだったので 今回の『氷艶』は歌舞伎界にももちろんですが、アイスショー界に新たな一歩を踏み出させた画期的な作品になったのではないでしょうか。 荒川静香さんが出て来ただけで感動で涙! なかなか良いものを観られず、感動不足の僕にとっては素晴らしい体験になりました。 歌舞伎ファン、フィギュアファン、太鼓ファン、マッピングファン どの方にも観て欲しい。 原宿に行く用事があるなら、是非代々木体育館へ足を運んでください!! 明日22日までしか観ることが出来ません!!!! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 氷艶 hyoen2017 ―破沙羅(ばさら)― 仁木弾正直則 : 市川染五郎 源九郎判官義経 : 髙橋大輔 女神稲生 : 荒川静香 岩長姫 : 市川笑也 奴江戸兵衛 : 澤村宗之助 鬼佐渡坊 : 大谷廣太郎 猿田彦後に武蔵坊弁慶 : 中村亀鶴 静御前 : 鈴木明子 瓊瓊杵尊 (ににぎのみこと) : 織田信成 木花開耶姫 (このはなさくやひめ) : 浅田 舞 天鈿女命 (あめのうずめのみこと) :村上佳菜子 荒獅子男之助 : 大島 淳 奴一平 : 鈴木誠一 渋谷金王丸 : 蝦名秀太 鳶頭彰吉 : 佐々木彰生 地獄太夫:中村蝶紫 蘇我入鹿:澤村國矢 石川五右衛門:片岡松十郎 酒呑童子:中村かなめ ほか 演奏:DRUM TAO 脚本:戸部和久 演出:市川染五郎 振付・監修:尾上菊之丞 振付:宮本賢二 振付:東京ゲゲゲイ ■ 日時 2017年5月 20日(土) 12:00/17:00開演   21日(日) 12:00/17:00開演   22日(月) 13:30/18:30開演 ■ 上演時間 20日(土)・21日(日)   【12:00開演】 【17:00開演】 第一幕  12:00~13:05 17:00~18:05

『リトル・ヴォイス』

劇団チョコレートケーキの日澤さん演出の音楽劇ということで興味を持って観劇。 主演の大原櫻子のことは、ミュージカル『わたしは真悟』を観るまで全く知らなかった。 歌手として、中高生(&おじさんたち)に人気なのかな? イギリス北部の田舎町の話。 『リトル・ダンサー』や『ブラス!』などの映画が好きな僕には鉄板な設定。 しかし、映画版『リトヴォイ』は過去に観たものの、あんまり印象に残ってはおらず。 亡き父親の残した沢山のレコードを部屋に篭って聴く日々を過ごすLV(リトルヴォイス)。 ジュディ・ガーランドやビリー・ホリデイ、マリリン・モンロー、エディット・ピアフなどの 往年の歌手の歌声を聴き込んでいるLVはいつの間にか、様々な歌手そっくりの”歌マネ”が出来るようになっていた。 飲んだくれの母親が、ひょんなことから芸能プロモーターのレイを家に連れ込んだことから LVと母親の生活は今までとは別の方向へと転がっていく。 まずこの作品の大きな見どころは、大原櫻子の歌唱力。 有名歌手の歌マネをしていることは、日本の観客には果たして伝わっているのかは謎だったのだが それを払拭出来るぐらい大原櫻子の歌唱力が僕を納得させてくれた。 父親の死、母親からの精神的な虐待により殻の中に閉じこもっていたLVが 外の世界への扉の前に立つまでを描く作品。 レイの導きにより物まねショーは大成功を収めたかと思えば、 再びLVは自分の殻の中に閉じこもり、家が全焼し、母親と衝突して終わるという決して大団円とはいかない物語なのだが、 ラストシーンのLVは、人生の大きな扉の前に立ってドアノブに手をかけているのを感じられ、爽やかな気持ちで劇場を去ることが出来た。 舞台 『Little Voice(リトル・ヴォイス)』 The Rise and Fall of Little Voice  作:ジム・カートライト 演出:日澤雄介 企画制作:ホリプロ  出演:リトル・ヴォイス(LV)役~大原櫻子、マリー・ホフ(LVの母)役~安蘭けい、     ビリー役~山本涼介、セイディ役~池谷のぶえ、ミスター・ブー/ビリーの上司役~鳥山昌克、     レイ・セイ(マリーの恋人で芸能プロモーター)役~高橋和也 【東京公演】 天王洲・銀河劇場 2017年5月15日(月)~28